あっという間に冬ですね~。
今回は熊谷市万吉にあります中西ハム(現カルネス)さんを訪問して話を伺ってきました。

今回訪問させていただいたのは、男気溢れる係長といつものアリのゴツいコンビです!
ハム・ロース・ベーコンなどを扱っているということで、食べ物に目がない私たちは興味津々。
特にアリは、数少ない友人から「卵と野菜とベーコンさえ食べていれば生きていけるらしいよ♪」という出所不明のアドバイスをもらってからそれを忠実に実行してきたため(※良い子は真似しないでね☆)、今となっては体の6割を水分が、残りの4割をベーコンが構成しているというもっぱらの噂。今回は同胞に会うつもりで訪問してきました。
実はハム業界の歴史はそれほど古くはないそうで、古い企業でも70年くらい前に創業したそうです。
そのような中なんと67年前、昭和22年から熊谷市でハムを作り続けています。まさに老舗のハム屋さんです。
以前は熊谷にも他にハム屋さんが2社あったそうですが、今は1件だけとなってしまいました。
昭和39年には第1回全国ハムソーセージ品評会においてボンレスハムの部、厚生大臣賞を受賞、昭和44年には埼玉県知事から工場の優良施設について知事賞を受賞されていらっしゃいます。これからもおいしいハムを作り続けていただきたいです。
長野の信州ハムさんの協力会社で、主にOEMを行っており、町のお肉屋さんにもハム・ソーセージを卸しているそうです。
信州ハムさんから注文を受けて、
信州ハムさんのブランドの商品を、
中西ハムさんで製造するということです。
家族との団らんの中などで使ってみてくださいね。
さて、事務所に行くと早速出てきたのは↓のような冷蔵ケース♪

その中の白いカゴには賞味期限が間近なお買い得品が置かれていました。よだれを溢れさせながらも平静を装い事務所でお話を伺います。
どのような状態で仕入れているの?豚丸ごと?
中西ハムさんでは輸入豚肉を扱っており、部位ごとにカットされたものを仕入れて加工しているそうです。豚さんがそのまま連れてこられるわけではありませんでした。(ドナドナド~ナ~ド~ナ~♪)←それは子牛!!
また、学校給食などは国産を使用することとなっており、国産豚肉を加工しているそうです。
ハム等の原料肉の原産地は?
中西ハムさんでハム等に使っている原料になる豚肉はヨーロッパや南米など世界中から仕入れているそうです。私たちの胃袋は世界と繋がっているのですね。
ハム・ベーコンの素朴な疑問?ハムには色々な部位を使うの?
ロースハムはその名の通りロース(背)を使用します。ベーコンはバラ肉(肩)を使うそうです。
ハムは豚肉しかないの?
ハムと言えば豚肉というイメージがあります。しかし、ハムは豚肉でしか作れないのでしょうか?
そんな素朴な疑問をぶつけてみたところ、丁寧に教えていただけました。
「加工に適しているお肉は豚肉です。
鶏肉は色の赤みが出ず、パサついてしまいます。牛肉もパサつきが強く、牛肉を加工して食べるならステーキのほうがおいしく作れます。
味付けをし熱をかけて作ったときに美味しいのは豚肉なのです。
一部牛肉を使ったソーセージもありますが、ブラジル人向けのもので、ブラジルから日本に来た人がブラジルの味が食べたいとブラジルの香辛料を取り寄せて食べています。」
(今でもブラジル人向けのものを作っているそうです。)
ソーセージは今でも腸に詰めて作っているのですか?
ソーセージというと腸に詰めて作るということを聞いたことがあるのですが、今でもそのように作っているのか聞いてみました。
「今でも腸を使って作っています。ウインナーなどには羊腸(ようちょう)、フランクフルトには豚腸を使っています。人工のコラーゲンケーシング(詰め物)を使うものもあります。」
ということで、今でも腸に入れて作っているとのことでした!!ちなみに腸の中に入れるのは豚や豚と鳥の肉だそうです。
中西ハムの商品の製造方法について
・スモークベーコンとは?
スモークベーコンは乾燥させてスモークをし熱をかけて製造しています。お肉の茶色い色はスモークの色だそうです。
昔はスモークをかけた後お湯にどっぷりつけていましたが、今は蒸気をあてて蒸煮(じょうしゃ)して加熱しているそうです。
・そもそもスモークって??
スモークとはその名のとおり煙のことです。スモークチップといわれる木の破片を燃やしてお肉に煙をかけます。スモークチップに使う木は桜が有名ですが、なかなか手に入らないため、カエデやナラも使います。
・スモークをかける前とかけた後のお肉の色の変化を見てみよう!
スモークをかける前のお肉
↓
スモークハウスです。この中でスモークにかけます。

↓
熱処理(スモーク)後のベーコンです。茶色い!!!

・スモークをあてる理由は?どうしてお肉にスモークを当てるのでしょうか?実は味を良くする他にも理由があります。
肉の保存性を高める成分がスモークの成分の中にあるため、スモークをかけることで日持ちが良くなるとのことです。
・吊るしベーコンは中西ハムさんが広めた?
3年前くらいに発売され、現在では一般的になった吊るしベーコンは信州ハムさんと中西ハムさんがコラボして広めたとのことです。
・普通のベーコンと吊るしベーコンの違いって何?
普通のベーコンは
①カットする前のお肉の塊の状態で吊るす。
②その状態でスモークをかける。
③カットします。
それに対して、吊るしベーコンは
①小さくカットします。
②スモークをかけます。
このようにすることで、スモークをかける表面積が広くなり、より美味しく作ることができるそうです。
小さく切ってからスモークをかけるので、一本一本手間をかけて吊るす必要があり、手間がかかりますが、乾燥がよくきくのでよく持ち、味も美味しく作ることができます。
・スモークチキン?
スモークチキンも他の会社ではあまり作っていない珍しい商品です。チキンは上でも書きましたがパサつくのであまり加工には向いていません。しかし、中西ハムさんではお肉が固くならないように独特の食感を保たせているそうで、スモークチキンはヘルシーで女性にも人気だそうです。
・おすすめの製品は?
おすすめの商品を聞いてみました。
1 熊谷宿ベーコン

かつて宿場町であった熊谷の名を冠したこちらの商品は普通のベーコンとは一味違うそうです。ベーコンを焼いた時に肉が縮むということを経験した方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。
普通のベーコンは調味液をお肉に注入しているため、焼くと水が抜けて縮んでしまうそうです。
しかし、熊谷宿ベーコンは味付けの液にバラ肉をそのまま漬け込んで、10日間染み込ませて肉を熟成させて作っているため、焼いてもお肉が縮まないそうで、本当のベーコンのうまみ、脂肪のうまみが出てくるそうです。
2 布巻ロース
布巻ロースも普通のロースとは一味違います。
普通のロースはメインマッスルというロースの芯の脂肪がちょっとしかついていない部分を使っています。それに対して、布巻ロースはメインマッスルの他にサブマッスルという副芯を使っているため、脂肪が少し多くなるそうです。
余分な味を加えず、脂肪の味が非常によく出てとても美味しいそうです。
今日いただいた名言「ロースの本当の美味しさは脂肪にある。」
続いて工場直売のお得な販売会(※平成30年8月に直売店は閉店しました。)と実際のハム等の製造現場を紹介します。
・販売会について
中西ハムさんでは3年ほど前から工場直売の販売会を実施しています。この販売会はテレビにも二度取り上げられ大評判だそうです。
・販売会を始めたきっかけは?
自社の販売を増やしたいという理由も勿論あるそうですが、
地元で67年事業を行い、
地元の人に美味しく食べていただけるように、
地元の人に美味しさを還元したい、
直に一般の消費者の方に美味しい商品を味わっていただきたい
という意向から販売会を開始されたそうです。
・販売会はいつ開催?
去年の1月頃から毎週土曜午前11時~13時まで工場直売の販売会を開催しています。
ハムの工場直売はあまり行っていないため、テレビにも二度取り上げられて、その反響から道路が大橋のほうまで渋滞になってしまったこともあったとのことで、お客様の利便性を考えて毎週開催することになったそうです。
・どのくらいの人が来るのか?
130~150組の人がいらっしゃるそうです。特にお昼頃まで非常に多くの方がいらっしゃるそうで、中には10時くらいから並んで開催を待っているお客様もいらっしゃるそうです。
味や品質には問題ないけれども、形などの理由から訳あり品として販売している商品は100円均一や200円均一などで販売され、非常にお得になっているため、多くの方が開始時間を狙っていらっしゃるようです。
対応しているのは事務職の方や工場勤務をされている方で、販売会を開催するまでは一般の消費者の方と直接接する機会はなかった方達です。
「直接消費者の方と接する機会を得て、変わったことはありますか?」と尋ねたところ、
「販売会はアンテナショップ的な意味合いでもあるため、直接お客様から要望や意見を聞くことができ、それが新しい商品の製造につながることもありますよ。」とのことでした。
・販売会での一押しの商品は?
詰め合わせの2000円セットが好評だそうで、中には友人とまとめて10セット購入される方もいらっしゃるそうです。月ごとにセット名やメニューを変えて販売されています。
・どのくらいお買い得なの?
普通のものは市販価格の2~3割引で、セットにするとさらに1~2割引となっています。味・品質に問題なしの訳ありの商品は上でも書きましたが、100円均一や200円均一など非常にお買い得になっています。
・続いて工場の中のご紹介です。
①まずは開封前の輸入原料のお肉です。

②開封して解凍台車の上に原料肉(豚ばら肉)を置きます。

③原料肉の検品作業を行います。ここで骨の取り残しや固い筋を取り除きます。

④調味液を肉に注入します。

⑤漬け込みタンクで調味液を肉に浸透させます。
冷蔵庫の中でタンクを回し、一晩寝かせて味を肉になじませます。

⑥タンクから開けた後の味付け肉です。食べたい!!

・味わい倶楽部について中西ハムさんでは、「味わい倶楽部」という会費無料で登録できるサービスも行っています。
登録者数は7,000名以上に及び、そのうち約5,000名が市民の方とのことです。会員登録後、販売会の商品(一部対象外)を購入すると、購入金額1,000円ごとに1ポイントつき、(※平成26年4月1日から2,000円ごとに1ポイントに変更となります。)30ポイント貯まると商品購入時に3,000円の割引をされるため、非常にお得になっています。
ギフトはポイントの対象外となっておりますが、会員はギフトの価格が30%OFFになっているとのことです。
最後に今回対応いただいた方のご紹介です。

写真向かって左が業務管理部 常務取締役部長の田嶋さん、右が製造部執行役員部長の今村さんです。
お二人には素朴な疑問を優しく教えていただきました。「よりよい品を より安く より衛生的に」
ということを心がけているとのことでした。
お肉に対する熱い情熱が伝わる貴重なお時間をいただきました。
お忙しい中本当にありがとうございました!