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MSD株式会社 妻沼工場(西城)

製薬会社


熊谷は夏は暑いですが、冬は寒いです!アリに至っては懐も心もさむ・・・悲しい独白はここまでにして今回の企業訪問日記のスタートです!※冬に取材を行いました。


今回は西城(にしじょう)にあるMSD株式会社妻沼工場様に訪問してきました。訪問したのはチャーリーとアリの二人です。

(工場外観)かっこいい!!

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(工場航空写真)広い!!!


工場の敷地面積はなんと171,809㎡!!!東京ドーム4つ分の敷地です!!!この広大な敷地でMSD株式会社様は何を作っているのでしょうか。


実はMSD株式会社様は製薬会社さんなのです。ここ妻沼工場は、以前は万有製薬株式会社の工場でした。
ここ妻沼工場では糖尿病治療薬を始め、骨粗鬆症治療薬、緑内障点眼薬、肺炎球菌ワクチン等28品目の医療品及びワクチンを製造していらっしゃいます。

また、MSD株式会社様ではこのブログをご覧の皆様も普段お使いになっているような医薬品を製造されていますが、全て医療用医薬品、つまり病院から処方箋をいただいて調剤薬局で受け取る薬のため、商品名を公表することができません。
お医者さんではその患者さんに合ったお薬を選んで処方してくれますが、医療用医薬品は薬事法という法律によって、患者さんや一般の方に直接宣伝することを禁じられているのです。

そのため今回の訪問日記では画像を適宜加工して掲載しています。


まずはMSD様の事業概要のご紹介です。

◎MSD株式会社の概要
MSD株式会社妻沼工場は1982年に設立され、現在約300人が勤務しています。
元は、1915年から続く万有製薬株式会社の工場です。2010年10月1日、万有製薬とシェリング・プラウという2つの製薬会社が統合して、MSD株式会社となりました。
MSD株式会社は世界140カ国以上に事業拠点を設け、従業員は約74,000人もいらっしゃいます。まさにグローバルな企業です。


MSD株式会社様のミッション
は、

「人々の生命を救い、生活を改善する革新的な製品とサービスを発見し、開発し、提供すること」。

全ての人々へ最良の医薬品を届けるために、そして人々の未来をより良くするために社員全員が、日々の仕事に全力で取り組まれています。その姿勢は今回見学させていただいた中でも垣間見られます。
創業当初から変わらない、薬提供への思いMSD株式会社様の医薬品提供への思いは、創業当初から変わることなく、今も受け継がれています。

米国本社の創業者の息子であり創成期に社長を務めたジョージ・W・メルク氏は、次のような言葉を残しました。




医療品は人々のためにあるのであり、利益のためにあるのではないことを決して忘れてはならない。
 (中略)
どのようにすれば全ての人々に最良の医薬品を届けることができるだろうか。
その答えを見出し、最高の成果を全人類にもたらすまでは休むことはできない。 ジョージ・W ・メルク


人を思い、人のために挑戦し続けていくという理念は、今までも、そしてこれからも変わることはありません。
MSD株式会社様は、患者さんを助け、人々の生活を改善するために、よりよい医薬品提供に全力で取り組み、世界最高の品質基準で、世界最高の医薬品を提供されています。


○工場内のご紹介

 1 更衣棟
いよいよ工場内のご紹介です。

まずは更衣棟で清潔な服装を着用します。
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こちらは更衣棟の外観です。この写真の中でどこか普通の建物と違う部分があることにお気付きになりますでしょうか。
写真の左上をよく見ると、凛々しい表情をしたおじさんの顔が・・・



写っているなんてことはなくて、もっと実用的な工夫が凝らされています。
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更衣棟の入口の窓ガラスに映った電灯の光を見ていただくとわかりますが、実は更衣棟の入口にある窓ガラスが黄色くなっています。これは虫を寄せ付けないための対策です。

薬の大敵といえば、虫。

どなたも虫が夜中に電灯に集まっている光景をご覧になったことがあることと思います。アリのように夜中に放浪中、虫の群れに突っ込んで傍目から見たら一人で暴れている人のように見える感じで、逃げたことも一度や二度ではないという人も多数いらっしゃることと思います。


ここでは、虫が建物内に侵入してこないように、窓ガラスを黄色くして光を漏らさないようにして虫が寄ってくるのを防いでいるのです。


さて、更衣棟の中に進入です。更衣棟の階段を上ると見えてきたのは休憩スペース。
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アリなんかが一度休んだらもう二度と立ち上がれなくなりそうなくらい快適そうな個別スペースでした。

工場内では温度と湿度が徹底管理されています。
さらに差圧管理(気圧の管理)もされ、室内を外よりも高圧にすることで、虫と並ぶ薬の大敵であるホコリなどが入らないようにしているのです。

企業にとっては人が大事なのは当然ですが、工場内では人よりも製品にとって過ごしやすい環境が整えられています。

更衣棟では
①脱衣所で手の洗浄をし、
②エアシャワーを浴びて、
③ユニフォームを着て、
④手をアルコール消毒し、
⑤再びエアシャワーでユニフォームの付着物を除き、
万全の態勢で工場へ向かいます。




※万全の態勢になり、チャーリーも思わず腰に手を当てたポーズになります。
2 包装工程
いよいよ包装工程のご紹介です。
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機械はケガをしないようにカバーで覆われていますが、ガラス張りになっており、異常があった際にもすぐに確認できるようになっています。



① 包装機械
こちらでは目にも止まらぬ早さで製品が包装されていきます。
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こちらでは錠剤の束をまとめて運んでいます。
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この後、箱詰めをして貼付書をつけていますが、貼付書にはレーザーで製造番号等を焼きこんでいきます。
その後焼きこんだレーザーにずれがないか機械でチェックを行います。

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少しレーザーのずれがある場合などちょっとした異常があるとそれを感知して、ラインからはじきます。凄い時代になったものです。


② 自主保全リスト
工場内には自主保全リストがあります。

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これは通常機械の保守・修理などは保守などを担当している部署の方が行うことが多いと思いますが、MSD様では自分たちの機械は自分たちで管理しようという考えからこのようなリストを作り、管理されています。


③ エフ一覧表
エフ一覧表という表には気になるところを逐次書いています。

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MSD株式会社様では製造業の現場で有名なトヨタ生産方式をベースとしたメルク生産方式を開発し、合理化にも日々務めていらっしゃいます。(例、見える化活動、予防保全、改善活動、情報の共有化の工夫等)
※トヨタ生産方式とは・・・トヨタ車を作るに当たって採用されている無駄のない生産方式です!!

チャーリーと話していて思ったことは工場内が非常に綺麗だということでした!見習いたい!!


包装工程から階段を歩いて物流工程に向かいます。この階段にも普段の階段とちょっと違う光景が見られます!

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段差がきつくて上るだけで健康増進につながる・・・というわけではなくて、階段の両側に手すりがあるのです。

普通階段では手すりはどちらか片方にしかついていないと思いますが上るときと降りるとき、どちらでも利き手で手すりをつかめるように配慮されています。


ついに物流工程のご紹介です。
1 保冷庫
保冷庫では温度を5度に設定して管理されています。停電でも継続して管理を行えるシステムとなっており、図書館のような自動棚を採用しています。ワクチンは全て保冷庫で保管されています。

古本に囲まれ、居住・活動・睡眠スペース≒本棚となっているアリの家にもこのようなものがあればもっと快適な生活が送れるのに・・・。


2 自動運搬機
物流工程では自動で製品を運び、自動で梱包する機械が大活躍をしていました。
①レールを走る自動運搬機
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工場の中をレールが走り、その上を自動運搬機が走ります。
②さらに凄い自動運搬機
今度の機械は接近センサーが物との距離を感知して、障害物に近づくと自動停止をします。こちらはレールもなく、自由に移動できるようになっています。
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ち、近づいてくる・・・!!
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機械の上の方に赤く光る装置があり、その光が反射板に当たって自分の位置を把握します。それにより、機械が自分で障害物をよけたり通路を曲がったりすることが可能となっております。(もしかしてアリよりも賢い・・・?)




4 自動積込機
こちらは自動でパレットに積み込む機械です。エレベーターで荷物が1つずつ下がって来るので、それを1つずつ拾って積んでいきます。ゲームセンターのクレーンゲームを見ているようです。

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さらに落下防止のため、自動でラップにくるみます。ラップを切るまですべて自動という優れものです。

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華麗なくるみ作業です。

包装が終わると無人搬送車がどこからともなく近づいてきて、包装後の製品を自動で積んで運んでいきます。

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最後に
工場見学の後に素朴な疑問に答えていただきました。
○MSDさんの工場は熊谷以外にもあるの?
⇒MSDさんの自社工場は日本では熊谷の工場だけだそうです!

しかし、MSDさんの製品は世界中で提供されているため、世界中で適合するような最高品質の製品を製造しています。
国内メーカーの場合国内の査察だけですが、外資系の企業の場合海外の査察もあるため、国際的な基準を遵守する必要があり、世界中どこでも通用するようなまさにグローバルスタンダードな品質管理を行っています。
○薬の原材料ってなに?
⇒錠剤は主薬(有効成分)と賦形剤(ふけいざい)(薬効成分を持っていない)の2種類の物質から出来ています。
賦形剤は乳糖だったりトウモロコシのでん粉だったりします。賦形剤を混ぜるのは主薬はどれも小さいので飲みやすい大きさにするためだそうです。

○錠剤はどうやって作るの
⇒錠剤の作り方には乾式造粒(かんしきぞうりゅう)、湿式造粒(しっしきぞうりゅう)の2種類があります。
 乾式造粒は主薬を一定量入れて賦形剤を混ぜて何トンという力で押し付けて錠剤にするという方法です。
 それに対して湿式造粒は粉を混ぜたところにでん粉を温めて糊にしたものを混ぜて、ヒーターで乾かして一定の粒の大きさにして錠剤にするという方法です。

 ただし、粉を混ぜただけでは錠剤にはなりません。
 乾式造粒は賦形剤に特殊な加工を施して、元々空気を含むものにし、それを圧縮して錠剤にします。
 湿式造粒は粉自体に空気が入っていなくて練ることでふわっとして空気が入ったような状態になり、それが縮まって錠剤の元になり、圧縮すると錠剤の形になります。

○錠剤のコーティングは何のためにするの? 
⇒錠剤の苦味を抑えたり、安定性を保つためにコーティングを行います。MSDさんでは無味のものをつくっているため、主に温度や湿度の変化に敏感な製品の品質のため、コーティングしているそうです。
 アリは甘党なので、甘い薬のほうが好きです(良薬口に苦しですよ・・)。

○薬は一日にどのくらい製造しているの?
一日で100万~300万錠/ロットを製造しているそうです。点眼液は9万本/日製造しているとのことです。

工場内ではこのように目薬が列をなして流れています。
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MSD妻沼工場さんでは国内向けの製品を製造しているため、皆さんが日常使っている薬もここの工場で製造しているかもしれません。

ちなみに錠剤は一時間に10万錠以上製造されますが、カメラで1錠1錠チェックを行っています。こういった検査は諸外国ではあまり行っていないそうです。日本で行っている理由は海外に比べて日本人は製品の見た目を気にする方が多いためだそうです。

製品の重さや固さも機械が自分自身でチェックしています。1990年代からオートウェイトチェッカーを導入。圧力を感知して圧力が高い場合、粉をたくさん使いすぎているなど、圧力で粉の投入量をチェックしています。


○新薬の開発にはどのくらいの時間がかかるの?
⇒新しい物質が特定されて、薬効を調べ、製品となるまで10年以上かかるそうです。非常に長い時間をかけてお薬は作られているのですね~。


最後の最後に今回の企業訪問日記でご案内いただいた方のご紹介です。
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この写真では工場で撮影させていただいたためユニフォームを着ていますが、MSDさんではビジネスカジュアルを実践していて、東京の本社でも業務によってはノーネクタイで勤務しているとのことです。
工場で働く方はまず事務所に出勤し、工場に入るために毎朝更衣して勤務しているので、ビジネスカジュアルになる理由もわかりますが、本社では業務に応じて、スーツの方やビジネスカジュアルを実践している方もいるということで合理的だな~と思いました。


お忙しい中御対応いただきましてありがとうございました。
日付:2014-05-19