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業界シェアトップを誇るガラスびんカンパニー


 みなさんこんにちは。今年もまたさむーい季節がやってきましたね。
 今回の企業訪問日記はお馴染みのアリとノンで 日本山村硝子株式会社 埼玉工場 様を訪問してきました。

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 日本山村硝子さんは1914年(大正3年)に創業、今年で記念すべき100周年を迎えた歴史と伝統のある企業さんです。


Q 何を作っている会社なの??
A 日本山村硝子さんは、
 ・ガラスびんカンパニー
 ・プラスチックカンパニー
 ・エンジニアリングカンパニー
 ・ニューガラスカンパニー
の4つのカンパニー事業を行っている会社です。
 特にガラスびんに関しては業界シェアトップ(38.5%!!)の出荷量を誇るスバラシイ企業さんなのです♪



 今回お邪魔した埼玉工場はその「ガラスびんカンパニー」にあたります。

 工場内にはガラス溶解窯が2炉、びんを成形する製びん機が7機あります。2つの窯のうち1号炉は色窯(主に茶色のびんのもとを作る窯)2号炉は白(透明)専用の窯として使っているそうです。
 この2つの窯で年間約5億本のびんを作っているんですよ~。


エントランスから中に入ると見たことのあるびんがたくさん!
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 お酒好きなノンは少しテンションがあがりました。
 工場見学に入る前に、びんづくりの流れを教えていただきました(^○^)

 原料受入→調合→溶解→温調→成形→徐冷→検査→包装→出荷

 これだけの工程を経てびんは作られているんですね~!


 ヘルメット・ヘアネット・白衣・軍手・防護メガネを装着し、耳栓を持っていよいよ工場見学に入ります。

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臨戦態勢(?)のノン


 普段からメガネのアリはかっこいい防護メガネを装着できなくて残念がってました。


 それでは、まず原料から見ていきましょう。

主原料・・・珪砂、ソーダ灰、石灰石など。
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副原料・・・芒硝(ぼうしょう)、酸化鉄、カーボンなど。
泡切れ、酸化還元材、色づけなどに使います。
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カレット(ガラス屑)・・・後で詳しく説明します。
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 それでは原料を詳しく見ていきましょう♪

主原料の珪砂(けいしゃ)
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 ケマートンって何?と思った方もいらっしゃるはず!
 ケマートンとはオーストラリアの良質な砂のことです。砂からガラスができるなんてびっくりですよね。
 また、斜めになっているのには理由があって、水分の多い砂だと、素地品質に影響を与えるため、ある程度、乾いた上澄みだけを掻いて炉の中へ入れ、溶かすそうです。


カレット
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 いわゆるガラスのくずのことです。びんとして使えないガラスびんを砕いてカレットにします!カレットは溶けやすいので、ガラスびんにしやすいそうです。



左側→自然由来の原料から作ったエメラルドグリーン
右側→カレット90%のエコエメラルドグリーン(エコロジーボトル)
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 カレットの使用量を増やすことは廃棄物の削減につながるだけでなく、省エネ、CO2の削減にもつながるとのことです!(カレットの使用量を10%増やすと、2.5%の省エネになるそうですよ。エコですね~!)



 続いて調合・溶解・温調の工程を見ていきましょう。

 これらの工程はコントロール室で管理されています。原料の調合は自動運転です。調合指図書というものがあり、コンピュータに数値を入力して自動制御しているんです!

 そして調合された原料は一定量ずつ溶解炉に投入されます。炉内の温度は1500℃、ガラスは1150℃まで加熱され、溶けたガラスになります。


炉内はモニターで監視
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すごい勢いで火がふきだしました
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溶けたガラスの高さで量を管理しています
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コントロール室を案内してくれた時田さんです(^○^)
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 わかりやすい説明をありがとうございました♪
 続いて、成形~出荷直前までを紹介します。


 コントロール室から出るとそこには窯が!すごくあつい!!夏場には窯の外の温度が50℃近くになるそうです!熊谷の暑さ+窯の暑さに負けないでお仕事をしていらっしゃる従業員の方を尊敬します。

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 窯から作業室を経てフィーダーという場所に溶かされたガラスが流れていきます。

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 このフィーダーからゴブという溶けたガラスのかたまりが落ちてきて、いよいよ次は成形工程に入ります。
 成形は「製びん機」という機械で行われています。日本山村硝子さんにはこの製びん機が7ラインあり、1つのラインで同じ工程を同時に10セクション行うことができるのです♪効率的!

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ゴブが落ちてきている様子



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馴染みのあるびんの形になりましたね。ビールびんかな??




 びんの成形が終わると、徐冷工程に入ります。徐冷窯で約30分かけゆっくりと冷やされます。(一気に冷やすと歪や割れが生じてしまうそうです)

 徐冷窯。ここでガラスびんの温度を一度約560℃位まで加熱してから徐々に常温まで戻していきます。
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 徐冷窯から出てきたところで高速で表面保護のためのコールドコーティング剤が噴霧されます。(そのままの状態だとこすったりするとすぐに傷がついてしまうそうです。)

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 コーティングが終わると検査工程に入ります。

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同じびんが一気に流れてきています。



 検査はびり・寸法・肉厚等の検査→外観検査→目視検査という流れで行われています♪
 ※びりとは・・・びん製造後に発生するびん容器特有の内部亀裂のことです。


 それではいざ検査機へ!!

 埼玉工場には検査機がなんとなんと!69機もあるんです。いくつもの検査機による綿密な検査と目視による人間の目での検査で質のよいガラスびんだけが出荷されるシステムになっています。

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 びんの高さを確認したり、衝撃に耐えられるかどうかをチェックしています。

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異常が見つかったびんははじかれて、カレットとして再度利用されます。
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まだまだ検査は続きます。

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 光センサーで、人間が判断できない程微細なブツや汚れ等がついているものをはじいています。ちなみにかなり高速です。

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 光を当てながら汚れやしわ等を目視で全数検査しています。目視検査ができる人はきちんと社内認定試験をクリアした人だけなんだとか!品質管理が徹底されている証拠ですね。



 それでは次の工程、包装・出荷に移っていきましょう。
 検査が終わったびんは一定数にまとめられ、バルク包装されます。

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 このような流れで最上段まで積みあがると・・・

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段ボールで包装され、出荷できる状態になりました。
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 倉庫の内部です。
 先ほど包装されたびんたちが高く積み上げられ、出荷を待っています。こちらの倉庫には常時1万3千~4千トン保管されているそうです。
 ところで、みなさん びんの底って見たことありますか??

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 じゃーん!こうなってます。
 アルファベットは会社・工場名をあらわしています。日本山村硝子埼玉工場さんはYSと書かれていますよ♪これからびん飲料や調味料を購入するときは是非裏側を見てみてください。日本山村硝子埼玉工場さんのびんに出会えるかも?


 また、点字によって1本1本違う番号で管理されています♪検査段階で異常があったもののデータを集め、よりよいガラスびんを作るため日々研究しているそうです。


 ここで、日本山村硝子さんに今力を入れていることについて聞いてみました。

Q 環境への配慮・品質管理
A ISO9001,ISO14001取得。また、FSSC22000を取得し、消費者に安心して手に取ってもらえるような製品を作っています。


Q 海外展開について
A 業界No.1のシェアを活かし、先進国ガラスメーカーとの研究会(IPGR)への参加、途上国(フィリピンやタイなど)への技術支援(GTR)を通して海外への技術支援をしていらっしゃいます!海外でも日本のすばらしい技術が活かされているなんて嬉しいですね。また、中国、タイ、インドネシアに子会社を持ち、積極的に海外展開を行っていらっしゃいます!


 最後に今回対応いただいた方のご紹介です。

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向かって左側が工場長の天野さん、右側が総務課長の真下さんです。お忙しい中親切に対応してくださってありがとうございました。
日付:2014-12-22